家具ときどきインテリアデザイナーのLAND岩下さんから、『木製ミニマルキッチン』に金属パネル貼ってカスタマイズしてみました!と写真をもらったのが3年前。

その後の様子をご紹介します。

3年前のbefore 金属プレート貼りたての様子。

完成当時の様子がこちら。
ベースとなっているのは『木製ミニマルキッチン』のラワン。1200×500mmのサイズをコンロ開口無しにしています。1200サイズは、オフィスなど狭い空間での利用を考え、奥行きが500/550/600と3サイズから選べるのがポイントです。

木製ミニマルキッチン
木製ミニマルキッチン
¥101,000~
シャープに木を纏う
本物の木を使いぬくもりが感じられる壁付のオリジナルキッチン。面材はラワン・シナ・バーチから選べ、サイズは9種類。オプションでキャビネットもあります。

ここに1.5mm厚の金属プレート「銅」と「真鍮」をDIYで貼ったそう。接着は強力両面テープで。ピカーンとおめでたい感じに輝いています。

前職時代は、ビンテージの家具なども扱うお店で働いていた岩下さん。渋く経年変化していく真鍮の魅了に取り憑かれ、オフィス用に買ったミニキッチンにも真鍮を貼って遊んでみようと思ったそうですが、ただ一面貼るのもつまらないと、「銅」と2素材で貼り分けることに。

最近はこうした金属板をサイズオーダーすると、カットして送ってくれるネットサービスがあるそうで、一枚2〜3000円くらいだったとか。1mmだと下地を拾ったりぺらぺらするので、最低でも1.5mm厚を選ぶのがポイントとのこと。0.5mmの差で違いがでてくるのですね。メモメモ。

経年変化の様子を観察するため、あえてクリア塗装をかけず、そのまま使っています。

では、お待たせしました。3年後の変化の様子、見に行ってみましょう。

元々住居仕様をオフィスに変えたこちらの物件。
玄関で靴を脱ぐとすぐ、壁一面の木の棚が目に飛び込んできます。

やや!棚の中央にいるのはもしや……

どどーん!

なんといういうことでしょう。あのピッカピカの社会人1年生のような輝きはすっかり影を潜め、いい味だした渋い大人に成長していました。

シンク下は、配管を隠すために木の板でL字に目隠しされています。

右の真鍮部分についている船の装飾品のようなアイテムは、岩下さんがオリジナルでデザインしたタオル掛け。こちらもいい雰囲気でマッチしています。

手元灯代わりの照明など、もう一体のセットが海外のホテルみたい。オフィスなのでコーヒーサーバーが置かれてますが、許されるならスコッチとか並べたいところ。これなら、オフィス空間でオープンになっていても絵になりますね。

この壁面全景がこちら。

写真の手前側に応接セットが置かれミーティングスペースになっています。

キッチン上部と右側、L型に組まれたのは岩下さんがデザインしたラワンの造作棚。このディティールがさすが、家具デザイナーというところなので、合わせてご紹介しちゃいましょう。

toolboxでもおなじみのラワン合板。木口が積層で縞々になっているタイプを、工場に頼んでカットしてもらい組み上げています。

垂直面は勾配がついており、角をアールに。加工自体はそんなに特殊なことをしている訳ではないのですが、この細かな気遣いで、全体の見え方がぐっと変わってきます。神は細部に宿るってやつですね。

棚板を止める金具をひっかける棚ダボも真鍮というこだわりっぷり。ここがよくあるシルバーのメッキだと浮いちゃいそう。徹底したこだわり大事!

シンク上の気になる木製ワイングラスホルダーもオリジナル。
工場で出た無垢板の端材を加工したものなのだとか。
材料そのものは端材なので0円だったものの、加工手間がかかりすぎて商売にするには難しいねぇ〜と工場の人に言われてしまったそうですが、いやーステキです。

 

玄関側をみたところ。

岩下さんの真鍮好きは、お部屋の隅々にまで広がっていました。
ライティングレールにつけられたのは、ミラー電球の真鍮。toolboxで扱っているLEDタイプではなく白熱タイプでした。

お次は正面のグレーに塗られた収納扉の上にぐぐっとズームイン!

ぴょこっと飛び出してきた配管のコーナーの金物を真鍮色で塗りつぶすあそび心。ちなみに、他にも丁番、電気のメクラプレートなど、色々なパーツがちょっとずつ塗られていました。

奥のトイレの扉には、『ワンタッチドアハンドル』のスリムタイプが。

この扉は、飛行機のトイレをイメージしてデザインしたそうで、細長く縦に貼ってあるのがアルミ板。下部分は化粧板のグレーで貼り分けされています。

ハンドルの上には、室内用のドアロックを別で取付け。

この飛行機のトイレイメージの扉が完成した頃、ちょうど飛行機で食事を運びミールワゴンを手に入れる機会があり、即決してしまったそうです。そのワゴンは、さきほどのミニキッチンがある壁面にさりげなく納まっていました。

最後に、キッチンと同じ空間の逆側の様子を。こちら、話題の新国立競技場、オリンピック会場が見えるんです!空も抜けて気持ちよい。

樹齢80年の栗の無垢材を使ったテーブルもIさんのデザインしたオリジナル。側面には、大理石とラタンを組み合わせて。ピエール・ジャンヌレのチェアともいいバランスです。

ステキな空間で、ヴィンテージアイテムに囲まれ育っていく、真鍮と銅のミニマルキッチン。ますます渋く男前に育っていくのでしょうか。今後が楽しみです。

ありがとうございました。

(来生)

LAND

オーダー家具、照明器具、家具セレクトを中心とした空間プロデュースを得意とし、ホテルやオフィス、飲食店から個人邸まで手がけています。

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