toolboxのキッチンが登場するのは、主人公の恋人の自宅。料理人のお部屋ということで、家のキッチンもセミプロ志向のものが欲しいというお題があり、toolboxのアイテムをいくつかご提案させていただきました。
舞台セットは、ドラマの美術担当の方が実際の家づくりのようにテーマに沿ってモノを決めていきます。
当初は、『業務用キッチン』も検討していただいていたのですが、水栓が壁付けになる「業務用キッチン」は、今回のようにシンクがある対面キッチンとしては使えず……。
対面式で、リビングから見て絵になるステンレスキッチンだと、これもありますよとご提案したのが『オーダーフレームキッチン』でした。
幅2400mmと、お部屋の中央に設置するには、なかなか迫力が出そうなサイズ感。それでも、圧迫感なく、すっきりした印象なのは、キッチン天板の薄さと脚の細さが効いてるから。
家具のようなスケール感にこだわった「オーダーフレームキッチン」は、視界に抜けをつくり、LDKをひと繋がりの空間として見せてくれています。
収納扉も引き出しも、側板もなし。これなら、しまいにくい形やサイズの大きなキッチンツールも気兼ねなく収納できますね。キッチン下部の棚に置くものは、お鍋などキッチン側から使うものが多いと思いますが、真ん中の部分は反対側からも使えるので、写真のようにカトラリー入れなどをリビング側からも取り出せるようにできるのも嬉しいポイント。
キッチンの背後には、分厚い木のカウンターと業務用のキャビネット。同じステンレス素材で統一感を持たせながら、がっしり無骨なイメージとの対比が、空間としてバランス良く仕上がっているように感じます。
水栓やコンロもプロの現場にルーツを持つものを選びました。
キッチンの上で一際目を引くフォルムの『スプリングホース水栓』。
「ホースが出しっぱなし」ですぐに作業に取りかかれる、この形状の水栓はプロの厨房で長年使われてきた背景があります。
プロユースの機能はそのままに、家庭用のキッチンでも大げさすぎないサイズなので、今回のようにアイランド型でお部屋の中心となるキッチンにもピッタリな存在感です。
コンロは、両面無水グリルが付いていたり、高火力でプロ仕様に最も近い家庭用コンロとして長く愛され続けている『ガスコンロ プラスドゥ』。その頭上は視界を遮らないよう『フラットレンジフード』を軽やかに浮かせました。
壁面に使われた、深い緑のタイルは、一枚一枚異なる濃淡でヴィンテージマンションで竣工時から使われていたような奥行き感がありますね。チェリー材とステンレスを使ったキッチンのアクセントになっています。
そんな表情豊かなタイルの上部には、飾り棚のような見せる収納が。窓上から梁下までの隙間を利用した2段のオープン棚。オイル塗装したチェリー材『スライスウッド』を棚の背面に張り込んで、お皿たちの絵になる背景をつくり出しています。
棚受けは、『ウォールディスプレイパーツ』で設置壁面に合わせてサイズオーダー、その中でさらに棚を付け位置を細かく調整ができます。光沢を抑えた鈍い質感の素材で、雰囲気を邪魔しません。
料理人らしく、たくさんの道具や調味料、器が並ぶキッチン。レトロな吊戸下のボックス型のオープン収納といい、窓枠も色味を揃えてまとまりよく見せています。
今回は、リノベーションしたお部屋という設定。
引きでみると、リビング側の扉やサイドキャビネットなど、お部屋全体にチェリー色のアイテムがアクセントになっていますね。
ドラマの収録スタジオのセットを実際見に行かせてもらったのですが、壁にはエイジング塗装がされていたり、リノベーションでよくある露出配管のつくりこみなど、本当に細かな部分までこだわられていました。舞台の美術さんすごい!
実際、ドラマを拝見して、井上真央さん、佐藤健さん、松山ケンイチさんといったキャストの方の掛け合いを楽しみにつつ「やっぱりこの水栓、リビング側から見ても絵になるなぁ」など、本編とは関係ないところで母のような気持ちでキッチンを見守っています(笑)。
ドラマは2023年の3月まで放送予定。今後の展開が楽しみですが、Tver、Netflixでも配信が決定。リアルタイムで見逃した方も、ドラマと合わせてお部屋のインテリアの様子、参考にしてみてください。
(来生)
TBS金曜ドラマ『100万回言えばよかった』
愛する人を突然失って悲しみにくれる主人公の相馬悠依(井上真央)。事件に巻き込まれて魂だけとなって悠依を見守る恋人の鳥野直木(佐藤健)。唯一直木が見え、事件の真相を追う刑事の魚住譲(松山ケンイチ)。数奇な運命に翻弄されながらも奇跡を起こそうとする3人に姿を描く、”切なくて温かい”オリジナルストーリー。その料理人・直木の家として、今回のキッチンがある部屋が登場します。
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