静岡駅から車で約12分。地元の名所、登呂遺跡から徒歩8分程の静岡市駿河区宮竹にあるのが「O’SSAN Kitchen Studio」。

以前の店舗はもっと町の中心部にあったそうなのですが、2022年の秋にいまの場所に移転してきました。

ドーンと突き出た庇が特徴的な元倉庫だった建物。

元倉庫だったことが分かる広々とした開放的な空間の中に、雰囲気のある家具が並んでいます。何も知らずに通りがかったら、家具屋さん?キッチンがあるからカフェなのか?と、「???」がいっぱいになりそうな、不思議な空間となっています。

オーナーでソムリエ資格を持つ料理人でもある藤田陽介(ふじたようすけ)さん。照明デザイナーの妻と2人でこの場所を運営しています。

藤田さん

コロナを機に、飲食店としてやってきた店の営業形態を見直し、ランチとディナーをやるビストロでもあり、時に料理教室やワークショップなどもはじめられたらなと、この場所に移ってきました。いろいろなことを試す場所にしたくて、客席のレイアウトもあえてガチガチに固定せず、家具を端に寄せれば、大きなスペースを生み出せたりと余白を残した配置にしているんです。

店舗名は、かっこいい名前も考えたんですが、悪ノリもあって、「オッサン」にしちゃいました(笑)。結果、みなさん印象に残って覚えてくれるので、よかったですね。

お店に入って左側のグレーの箱で囲われたブースのようなところが、主に藤田さんが調理に立つキッチンスペース。

キッチン屋さんと相談してつくったというアイランドのキッチン。天板に大判のタイルを使った、大きな作業テーブルにシンクとコンロがついたキッチンです。

コンロは、『ステンレストップ グリルレス 4口コンロ』。その上には、『オーダーレンジフード』が。

どちらも、家庭用のスペックのアイテムです。お店なのに、火力の強い業務用のものでなく、家庭用のコンロを選んだのはどうしてなのでしょう。

藤田さん

わざと家庭の台所感をだしたかったんですよね。料理教室もやっていきたいと思っていたので、家庭用のスペックのものでも、美味しいものがつくれるんだっていうのをみせたかった。

みなさんが気軽にキッチンの回りに集まれるよう、厨房もわざと囲いを設けず、オープンなスタイルになっています。キッチンは幅2500mm。何人かで並んで作業できるようなサイズにしています。

『オーダーレンジフード』は、幅890×高さ450mmというサイズでオーダー。

キッチンの上部を照らす細長いライン照明は、既製品のもの。その横には、幅と高さをオーダーできる『オーダーレンジフード』が並んでいます。照明は1350mmとサイズが決まっているので、キッチンの幅とぴったり揃うよう、そして、天井までダクトをすっぽり覆えるような高さでレンジフードのサイズをオーダーしました。

空間に合わせて自分の好きなサイズにモノを納めるって、キッチン本体は造作でやればできることだったんですが、レンジフードはいままで設計の人も手を出しづらく、諦めていた部分だと思います。このさりげない操作が、できあがった空間のすっきりした見た目、気持ちよさを生み出しているんですよね。

実は、照明は黒いカバーがついたものだったそうなのですが、今回ステンレスのレンジフードに合わせて、同じステンレスで照明カバーを作り、一体的にみせています。

本当に、セットで売られているような一体感!

料理の出来上がりを待つ間、席から藤田さんが準備している様子をじっくり眺めることができます。

藤田さんは身長185cmと背が高めなので、レンジフードが邪魔にならないよう、コンロから98cmの高さにフードを設置しています。

ちなみに、わたしがもう一点キッチンで気になったのが、シンク下のバケツ。何やらホースが突っ込まれているのですが、え?水漏れ防止??

実はこのバケツの中に浄水器のカートリッジが隠されておりました。すごい、ナイスアイデア!!

キッチンの背景となる絵になるグレーの壁にも、実はtoolboxアイテムが。

グレーの壁材は『塗装のキッチンパネル』のチタンシルバー。「たまたま色が揃っちゃった」という、冷蔵庫とも相性ばっちり。

『塗装のキッチンパネル』は突き付けですっきり張り上げて。

主張しすぎず、グレイッシュな棚板を支えるのは、『棒棚受け』。

『モデストレセップ』に灯した電球が壁をほのかに照らしてくれます。

お玉掛けは『ハンガーバー』の鉄。

コンロ側の壁面にも同じく『棒棚受け』の棚が。ワイングラスたちがキレイに陳列されていました。ガラスの影が壁に映って絵になるコーナーです。

ちなみに、今回の『オーダーレンジフード』は、本体にスイッチがなく、電気工事でお好きな場所にスイッチを設けられるという商品になっています。このキッチンでは、このワインセラー脇のお店側から死角になる位置に給湯スイッチなどと一緒にスイッチが設けられていました。

キッチン上のライン照明は、ipadの専用アプリで、色温度を替えたり調光出来るようになっています。最近のLED照明すごい!

トイレを覗くと、『木製ラウンドミラー』が!
くすんだピンクの塗装の壁にお似合いですね。

いただいたワンプレートランチセット。カレーやタジン鍋ランチから選べます。

取材時にいただいたランチもとっても美味しかったのですが、後日キッチンスタジオのSNSを拝見すると、「つくりおきおかずクラブ」なる気になるワークショップが。

お店の看板メニューの煮込みハンバーグをはじめ、おかずやサラダ、デザート計6点をつくって持って帰れるみたいですよ。近所にあったらぜひ行きたい!

お近くの方は、ぜひお立ちよりください。ありがとうございました。

(来生)

O’SSAN Kitchen Studio

静岡市駿河区の飲食店、料理教室。

ソムリエ兼シェフが、料理を楽しんでもらうためのメニューやレシピを開発しながら、地域の人々の笑顔が溢れるようにと、キッチンを中心としたコミュニティスペースを作りました。

HP

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