もともと店舗の隣家に住まわれていたそうですが、店舗と隣家を渡り廊下でつなぎ、店舗だったこちらの空間を住居にリノベーションすることにしたのだそう。開口の奥にちらっと見えるのが、元々住んでいたお住まいです。
壁の珪藻土のローラー塗りから天井の塗装、床のフローリングも大工さんの指導のもと自分たちでDIYをされています。
そのため、リノベーションとしては長いおよそ1年に渡る工期がかかってしまったそうですが、その苦労のかいあって、鉄骨造の特徴を活かした、天井が高く気持ちのいい日差しが差し込む開放感溢れるリビングダイニングに生まれ変わりました。
元店舗のなごりでもあるガラスファサードをそのまま残した玄関周り。家の手前には柵で囲われたお庭があるため、これだけの大開口でも、外からの視線が気になりません。
屋内と屋外を緩やかに繋いでくれる土間スペースを設けた間取り。くつろぐスペースは小上がりのように段差を設け、フローリング仕上げにしています。
窓際の土間スペースに並ぶ子供たちの勉強机。段差を利用し、ワンルームをうまく切り分け使われています。
思う存分くつろぎたいという意気込みを感じる、居心地のよさそうなリビングスペースには、体を包み込む大きなクッションやゆらゆらくつろげるハンモックが取り付けられています。
「モールテックス」という薄塗りの左官塗材で仕上げた造作キッチンは、既製品のキャビネットを利用することでコストを抑えたのだそう。素材感漂う意匠性と使い勝手を兼ね備えた、いいとこ取りのキッチンに仕上がっています。
左側のコンロ台も、カウンター同様既製品のキャビネットにモールテックスの天板・側板を組み合わせて作ったのだそう。脇にはコンロ台の高さにあわせてつくった集成材の収納カウンターが続いています。
調理家電が買い変わることを考慮して、収納は融通が効くよう可動棚に。
寝室の押し入れは、DIYでお子様のベッドスペースにされたそうです。とってもかわいらしい…!
2階はご主人の仕事場&趣味の部屋として使われています。壁の造作以外はほぼDIYで作られたそうで、基地感溢れるガレージのような空間に。
自分たちが住みやすいよう、住んでからも気になるところはDIYで手を入れているそうなのですが、その作業や趣味道具のメンテナンスなど、家族に気兼ねなく作業に没頭できるスペースになっています。
壁のくぼみを利用して、デスクスペースに。
趣味の釣り具をガシガシ洗えるよう、備え付けられた業務用シンク。
洗面とトイレはひとつにまとめ、ホテルライクな雰囲気に。採用いただいたのは「アイアンスタンドシンク」です。魅せる洗面台の本領発揮。程よい存在感を放っています。
「1年に渡る工事期間をお付き合いした分、とっても思い出深い現場になりました。お伺いする度に、センスの光るDIYや家具がどんどん進化されていって、次回遊びに行くのも楽しみです。」と話すのは、この家の設計担当者さん。
「自分たちでつくる」ことで、壁のムラや床の傷も作業の思い出と愛着が湧き、家への思い入れもひとしおになる。結果、住んだ後も家に手をかけ、大切に育てていくようになる。
とはいえ、自分たちの手でイチからお家を作り上げるのはとっても大変です。妥協したり行き詰まったりと、後悔することにもなりかねません。セルフリノベをはじめてやる!という方は、無理に自分たちで全部をやろうとせずに、今回のお客様のように上手くプロの力を借りながら、自分たちでできる範囲だけを手伝うというスタイルが、もしかしたらちょうどいいかも?しれません。
(ヤマキ)