今年は家で過ごす時間が増えましたね。

休日だけでなく、平日もリモートワークで自宅で過ごすなら、少しでも「心地のいい素材に囲まれて暮らしたい」と考えるかたは多いのかもしれません。

今回ご紹介するのは天然素材をふんだんに使い、思わず深呼吸したくなるような、木の香りを満喫できるリノベーション物件です。

手がけたのはtoolboxを長年ご愛用いただいている、スーパーモンキープロジェクトさん。三重県を軸に活動し、このたび東京にも拠点を増やしたそう。設計から施工までを担当した、蒲田にある分譲マンションを訪ねました。

ドアを開けた瞬間から香る、さわやかな杉の匂い。フローリングやカウンター材は全て、三重県美杉町産の無垢の杉板を使用しています。

映画『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』のロケ地にもなった山で育った杉を、月の満ち欠けに合わせて伐採。葉をつけたまま山に半年ほど寝かして乾燥し、さらに製材後も1年以上天然乾燥で熟成させています。

こうすることで木本来の油分を適度に残すことができ、カビたり腐ったりしにくく割れや反りにも強くなるのだとか。

人工乾燥に比べたときの、色つやの良さも特徴のひとつです。風合いをいかすために、フローリングはあえて無塗装に仕上げていました。

自然と共存した製造過程を歩んだエコロジカルな木材を使い、地元である三重の山を元気にしたい。そんな思いを込めて素材をセレクトしています。

ニュアンスのある壁や天井は、化石サンゴの塗壁で仕上げられていました。化石サンゴは有害物質を吸着し、空気をきれいにする効果があります。さらにはマイナスイオンも発生するそう。

何時間でも過ごしたくなるような、とても心地のいい空間です。

天然素材をふんだんに使っていますが、空間がナチュラルになりすぎないように、スイッチやコンセントなどの電気設備はあえて露出配管に。

存在感が控えめな『アメリカンスイッチ』のホワイトを選ぶことで、化石サンゴの壁と調和しながら露出配管のほどよいアクセントを楽しめます。

余白を感じる造作キッチンには『フラットレンジフード』がありました。軽やかな存在感が空間になじんでいますね。

キッチンの隣、正面の扉を開けると洗面空間があります。ここにもたくさん、toolboxのアイテムをご採用いただきました。

洗面所の照明は『工業系レセップ ソケットホワイト』、ミラーは『メタルフレームミラー』、タイルは『ハニカムタイル  渋アイボリー』。トイレの収納は『アイアンラック Sサイズ』です。

壁や天井は化石サンゴ、床も贅沢に杉のフローリングが続きます。赤身と呼ばれる板をできるだけ集めて、リビングなどと雰囲気を変えているのだとか。調湿効果がありながら、木の香りを楽しめる洗面空間です。

トイレと洗面所をカーテンで区切るのも面白いですね。

実はこちら、天井に『アイアンカーテンレール』を設置し、カーテンを吊るしているのです。

個人的に天井に設置する事例は初めて見ましたが、これはナイスアイデア! 軽いカーテンであれば、耐荷重も問題なさそうです。

最後にリビングのビフォーアフターを見てみましょう。

なんということでしょう。木のぬくもりを感じる、心地よい空間に生まれ変わっています。これならリモートワークも家事も、きっと捗ることでしょう。

toolboxのアイテムは、あくまで引き立て役に。天然素材をとことん味わえる、リノベーション事例をお届けしました。

スーパーモンキープロジェクトさんは、2020年8月に発売の『心地よい空間をつくる 小さな設計・建築事務所』に掲載されています。toolboxが新たにつくった書籍『マイホーム 自分に素直に暮らしをつくる』とともに、家づくりのヒントになると嬉しく思います。

(塩川)

株式会社スーパーモンキープロジェクト 一級建築士事務所

住宅や店舗の土地探しから企画・設計・インテリアデザイン(家具・照明等)・グラフィックデザイン(店舗系サイン及び印刷物)・施工まで、幅広く相談することが可能。三重県を拠点とし、東京にも事務所を持つ。

  • 「工業系レセップ ソケット02」は販売を終了しました。

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