弧を描くひさしが好きです。(撮影:増田好郎)

今回ご紹介する物件は、神戸市の六甲道にある都市型戸建て。間口3m、奥行き9mのコンパクトな敷地に佇む3階建て住宅です。

モルタルのカウンターで囲ったワークスペースはどこかデザイン事務所のような雰囲気があります。(撮影:増田好郎)

元は水回りがまとまっていた1階は、ワンフロアを丸ごとワークスペースと来客スペースに。

店舗兼住宅のようなイメージでつくったというワークスペースは、「HANARE」と名付けられています。小さな造り付けベンチや打ち合わせスペースもあり、仕事の関係者を招いてミーティングも気軽にできそう。

ネーミング通り、2階・3階の住空間と切り離すことで、会社にいるときのように仕事に打ち込めそうな場所になっています。

住宅スペースから靴を脱ぐスタイルなのも、仕事と生活の気分を切り替えてくれそう。(撮影:増田好郎)

そして、2階に上がるエントランスで一際存在感を放つのは、ネイビーのアール壁。中は収納スペースになっているそうですが、はじめてみたとき、秘密基地を発見したときのような気持ちになりました。天井の鉄骨のデッキプレートやモルタル造りのカウンターなど、直線的な要素で構成された空間に曲線が映えています。紅一点ならぬ、R一点。

モルタルの天板にあえてデコラティブな水栓と洗面を選び、空間にアクセントを。水栓は『クラシカルサニタリー』、タオル掛けは『クラシカルアクセサリー タオルバー』を使用しています。

間口3mの空間を広く使うため、洗面台は廊下に設けました。(撮影:増田好郎)

2階は水回りと寝室。洗面スペースとトイレは階段を登ってすぐの位置にあり、仕事中にお手洗いに行くときも、リビングやキッチンを通らない動線になっているので、仕事モードはオンのまま。

コンパクトですが、明るい空間。腰高の家具で揃えれば広く使えそうです。(撮影:増田好郎)

3階のリビングは、2面から採光できて、日当たり良好。照明には、ホワイトの『スポットライト ソケット型 LED』を採用していただきました。お気に入りのペンダントライトとあわせて使っても邪魔をしない存在感です。

壁面はステンレスとタイルで存在感あります。タイルは『レトロエイジタイル』。(撮影:増田好郎)

キッチンはステンレスの業務用キッチンシンクと造作したコンロ台をあわせて。ステンレスの吊り戸棚や『オーダーマルチバー』が、さらにカフェダイニングの厨房にいるような雰囲気をつくり出しています。

後ろに設けたダイニングテーブルはカウンタースタイルで、こちらもお店感があります。(撮影:増田好郎)

リビングダイニングの奥は洗濯機置き場。袖壁の開口部からはダイニングに陽が差し込みます。

2階から3階、3階から屋上への階段。(撮影:増田好郎)

3つある階段はそれぞれ踏み板の素材が異なります。

1階から2階は木材でやわらかな雰囲気に、最も行き来することが多い2階から3階はニードルパンチを貼り、上り下りしやすく。3階から屋上は縞鋼板で、壁面は木毛セメント板で仕上げました。その全てに使っていただいているのが『木の手摺 ウォルナット』。

撮影:増田好郎

全く異なる素材をベースにした階段を、手摺を共通にすることで上手にまとめ上げています。ウォルナットの風合いが優しい雰囲気を与える一方で、角棒であることで空間の凛とした空気も保っています。

隣家の屋根より高く、空を独り占めした気分になれそうな屋上。(撮影:増田好郎)

階段を登りきった先には、屋上があります。コンパクトですが日当たりは抜群。家庭菜園をしたり、本を読みながら日向ぼっこをしたり、昼からビールを飲んじゃったり。使い方は自由自在です。

都市型戸建ての間取りを今の時代の暮らしに合わせて再構築。

外で働いて帰る場所だった家が、仕事の時も休みの時も過ごす場所になりました。

個人事業主になった気分で仕事をしたり、シェフになった気分で料理をつくったり、屋上で寝転んだり。そんなふうにオンもオフも両方楽しめる要素が今、住宅に求められているのかもしれません。

(庄司)

株式会社アートアンドクラフト

建築設計/施工/不動産仲介/建物再生コンサルティングのプロ集団です。
大阪・神戸・沖縄を拠点に、マンション1室からビル1棟まで既存建物の再生を得意としています。

大阪R不動産も運営しているtoolboxのグループ会社です。

  • 「クラシカルサニタリー 2ハンドル洗面用水栓 デボンシャ」、「クラシカルアクセサリー タオルバー デボンシャ01」は販売を終了しました。

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