新築マンションの見学会に足を運ぶも、好みの内装の家がないことに気づき、中古マンションのリノベーションで「理想の内装」をつくり上げることを選択した、二人暮らしの住まい。
既成の空間では満たされなかったお二人の「理想の内装」とは、一体どんな内装なのでしょう?詳しく見ていきましょう。
施主のリクエストだったというモルタル仕上げのキッチン。下部はオープンで、素っ気ないつくりになっています。
そんなキッチンに合わせて選んだのは「ただの箱」感がある、『フラットレンジフード』。洗練された形状のレンジフードが、モルタルキッチンの無骨さを引き立てます。
異なる高さの棚に規律正しく並んだお皿、鍋、調理器具たち。ここから「行ってきます!」と出勤し、仕事が終わって棚に戻ったら「ただいま!」との声が聞こえてきそうな、収納というよりも道具たちの「居場所」と呼びたいスペースです。
躯体現しの壁にモルタルキッチン。
コンクリートの無機質な印象が際立つ空間に、無垢の栗フローリングで木の温もりをプラスしています。
ふむふむ、なるほど、お二人の「理想の内装」とは。
「無機質な素材感とぬくもりのある木でつくるシンプルな内装」ということだったんですね!
……と思ったら、おや……?
現れたのは、発光する円いミラーとフロート型の洗面台が、近未来的な雰囲気を漂わせるホール。
ガラッと雰囲気が変わったようにも感じますが、床はキッチンと同じグレーのビニル床タイル、ドアには無垢のタモ材から削り出した『木のドアパーツ』が使われ、「無機質なグレーと素材感のある木」のルールが共通しているところがポイント。
ホールを広く感じられるように洗面の壁をなくし、湿気がこもらないように上下をオープンにした脱衣所のドアなど、機能性を考えたデザインながら、遊び心も感じる空間に仕上がっています。
こちらはリビングの一角にあるエクストラルーム。ポップなピンク色の壁とアール壁がスペーシーな印象をつくっており、その奥に鎮座するモルタル仕上げのキッチンとの対比がユニークな空間です。
「インダストリー・レトロフューチャー」とでもいいましょうか。
異なるテイストを織り交ぜることで、オリジナルな世界観を表現しています。
途中までは、木とコンクリートの質感でまとめた「シンプルな内装」が好みなのだと思っていましたが、徐々に近未来的な空間やポップな部屋が現れ、印象が「個性的な内装」に変わってきました。
お二人が求めていた「理想の内装」のテーマとは、「個性的なシンプルさ」。
個々のテイストをしっかりと盛り込みつつも、余白を残した空間づくりと色味の統一で、複雑さを感じさせない内装になっています。
シンプルとひとくちに言ってもその表現はさまざま、自分たちの好きな要素を研ぎ澄ましてかたちにした、唯一無二の「シンプル」もある。
そんな、「好き」を突き詰めていく家づくりの面白さを教えてくれる事例です。
(山本)
株式会社アートアンドクラフト
建築設計/施工/不動産仲介/建物再生コンサルティングのプロ集団です。
大阪・神戸・沖縄を拠点に、マンション1室からビル1棟まで既存建物の再生を得意としています。
大阪R不動産も運営しているtoolboxのグループ会社です。
紹介している商品
- 写真の「フラットレンジフード アイランド型 W750 ホワイト」は仕様変更前のもので、現在販売しているものとは仕様が異なります。(仕様変更前:全艶塗装 → 仕様変更後:2分艶塗装)