料理が趣味で、長時間キッチンに立つこともあるというお客様。
そんな要望に応え、キッチンを家の中で一番気持ちよい、東面の窓際にずらすところから計画がはじまったマンションリノベ事例です。
バルコニーに面した窓際に対面式のキッチンを設置。
カウンターのテーブルをくっつけてお店のように。
キッチンは、対面式にすると通路幅が必要になる分、リビング側を圧迫してしまうのですが
この家は、ダイニグテーブルを置かずカウンターのみとすることでバランスをとってますね。
むき出しにしたコンクリート躯体に、シルバーでトーンを揃えたレンジフードや収納棚、フライパンやお鍋たちがずらり。
キッチンの内側を見てみましょう。
おぉ〜でました!「ガゲナウ」のバーベキューグリル。
お肉やお野菜が美味しく焼けると話題のあのコとIHがセットされていました。
キッチンの把手は「真鍮金物」とって六角棒 コの字。
「ガゲナウのコンロや造作シンクのシャープなデザインとのバランスを考えて、角の立った溶接と面取りが特徴的な六角棒を合わせました。水廻りに用いた真鍮なので経年変化で鈍色になり、キッチン面材のシナ合板の色と馴染んでいくと思います。」
とは、設計 moyadesign 羽場さんの感想。以下、それぞれの商品の採用ポイント、コメント付きでご紹介します。
キッチンの足元部分だけ、フローリングからタイルに切り替わっています。
天板下の扉の面材には「アメリカンスイッチ」を仕込んで。
コンセントがあると、天板上で、フードプロセッサーを使ったりするのに便利です。
パントリー側はこんな感じに冷蔵庫や家電、食器やストックがすっきり納まっています。
キッチンのシンク手前は「把手の金物」9Φのサイズオーダーで。タオル掛けとして使えるようになっています。
「サイズオーダーでシンク幅とバランスが揃えられたのも選定のポイントに。」
本当に業務用厨房のようなこだわりアイテムぞろいのキッチン背面。
絵になります。
キッチンの正面は、テレビとソファー。
キッチンに立ちながらテレビも見れる配置です。
フローリングは、「ラスオークフローリング」120のクリア塗装品です。
「フローリングの中でも、色の濃淡や色味の違いが強めで、かつ節あり乱尺なので、良い意味で素材の生々しさを感じられる素材。納品された板材を現場で全て並べてみて、色味や濃淡に違和感のないように分類してからリビング・個室・廊下に割り振りました。」
そうなんです。このtoolboxオリジナルのラスオークは、木の個性である色の違い一般的なフローリングに比べ大きいのが特徴。バランスを見ながらうまく配置していただくのがポイント。
テレビ台は、「棚受け金物」の真鍮と「フリーカット無垢材」ホワイトオークで。
「TV周りはどうしても機器や配線など、デザインとは別の要素が増えてくる場所なので、隠せるものは隠しつつ、要素を減らしてミニマムにデザインしていくことを心掛けました。見せる支持材として無駄のないデザインながら、大量生産の金物には無い丁寧さが感じられる金物だと思います。」という嬉しいコメントいただきました。
棚板のホワイトオークは、オークのフローリングとの相性がよく、結果的に元々お持ちだった無垢材のローテーブルとも良いバランスが取れたそう。
では、フローリングがまっすぐに続いていく廊下側にまいりましょう。
リビングと廊下をつなぐガラスの框扉は、L字にガラスの壁がつながっていて、明るい光が廊下側まで届くようになっています。
現場に搬入可能な最大サイズのガラスで構成されているそう。これなら廊下側にもたっぷり光が届きますね。
振り返ると、「ミニマル洗面台」。その先はトイレ、そして玄関に続いています。
そうなんです、この家は、廊下の一部に洗面台があるというオープンな配置。
「元々の間取りでは洗面台がお風呂場の脱衣室内にあったので、トイレの後に利用しやすく、尚且つ玄関から直行できる、というメリットから廊下に洗面コーナーを設けました。
シンク廻りは掃除がしやすいようにというお客様の要望で、アンダーカウンタータイプを検討。当初は造作で考えていましたが、空間サイズにぴったりはまる製品だったので採用となりました。水栓開口をキャンセルできるなど、既製品ながら融通がきいたことも良かったです。」
と、リノベ現場のニーズを見込んで作ったオリジナル商品。まさに期待通りに使っていただきました。
「廊下と水廻りはミニマルかつ清潔感のある白~グレーで統一したので、洗面台の正面パネルの面材が選べるのも採用ポイントでした。水栓やペーパーホルダーなどインダストリアル系の備品や金物に合せて、壁面はグレーのポーターズペイント塗装の上から防水のためのクリア塗装をかけています。」
キッチンにも通じるグレーに統一された世界観。
下がオープンなミニマル洗面台ですが、棚板を一枚渡して、コンテナボックスを収納に。
こうした個人のニーズに合わせたオリジナルのカスタマイズがしやすいのも、オープンな洗面台の魅力ですね。
「内装材やパーツには、可能な限り無垢や天然の素材を採用することで、経年変化が美しく感じられる空間を目指しました。」という意図通り、フローリング、ステンレス、真鍮、磁器タイル、モルタル、など、空間はディティールにこだわりキレイにおさめた分、素材それぞれの力強さが引き立つ空間。これからの経年変化が楽しみですね。
施工は、いつも素敵な写真をくださるルーヴィスさん。
ありがとうございました。
Photo:中村晃
(来生)
<設計デザイン>
moyadesign
羽場友紀と平辻里佳の共同主宰による設計事務所。
隈研吾建築都市設計事務所を経て2012年に創設。
住宅や店舗、保育園、医院等の設計から、家具・インテリア・ランドスケープデザインや建材開発など幅広く展開。
現在は鎌倉とオーストラリアを拠点に活動中。
株式会社ルーヴィス
古い建物を活用し、既存のいい部分は活かしながら「懐かしい新しさ」に変化させるリノベーションを行っています。
toolboxでも初期からお世話になっている施工パートナーです。
※お住まいになりながらの改修工事はお受けできません。