お施主様は仕事柄、お忙しい毎日を過ごされています。
なので、「家ではホッとしたい。荒々しすぎず優しい素材感が好き、自然光や無垢材・金物の風合いが好き」という感覚を大事にお家づくりを進められたようです。
キッチンはモルタルとラワン合板で下部を造作し、ステンレスの天板を載せて作りはシンプルに。その背後には収納力たっぷりな『木製キッチンカウンター』が、設置されています。
コンロ横の扉を開けると、脱衣室・浴室スペースに繋がっていて、そこから廊下に抜けることもでき、廊下を回ってまたキッチン前にグルリと帰って来ることができます。
料理とお洗濯と、横並びの家事動線がとれつつ、それぞれ個別にアクセスもできるので、平日はお仕事から帰ってお風呂に直行も良し、休日はまとめて家事をするも良し。そんな暮らしができる間取りです。
カラフルなテキスタイルがかかった2部屋は、奥がWIC、手前がフリースペース。中でひとつづきになっているので、キッチンや脱衣所含めて回遊性のある間取りになっています。
洗面はあえて洗面室として区切らず、リビングダイニングまでの廊下部分に設けています。生活する中で、ここに立ち寄りサッと手を洗う、歯を磨く、気ままなリズムで使えそうです。鏡には『ラワンの洗面ミラー』を使ってくださっています。
洗面カウンターには集成材を使い、『オーダーマルチバー』を長めにオーダーし、ギュッとしまる黒皮鉄の素材をプラス。
こちらはガチャっと玄関を開けてすぐの広めの土間スペース。奥のテキスタイルがかけられたストックスペースには、趣味のキャンプギアを収納されているそう。「帰ったらすぐに迎えてくれる広い土間でホッとしたい」というお施主様の要望から設計されています。『古材ミラー』を置いて、お出かけ前の身支度もしっかり整えられそうです。
お休みの日はこのアウトドアチェアで、まったり趣味の道具のお手入れも気持ちよさそうです。
キッチン向かいには、大きな室内窓が設けられたフリースペースがあります。この窓からは、リビング側の自然光が入り込み、気持ちよさと程よい秘密基地感があります。
カウンターに使っているのは、お施主様お気に入りの「ヒュームドパイン」。高温と水蒸気によって蒸し上げられた、色濃く染まったパイン材です。オープンになっているリビングとは違った「特等席」の空気が漂っていますね。
ちなみにいくつかbeforeのお写真を。同じ画角からのものとは限りませんが、その before/after っぷりをご覧いただけたらと。
今回の設計では、素材や金物の種類は統一せず、色々なものを使いたいというご要望から、ラワン材、集成材、アイアンやステンレスを使い、ポイントでヒュームドパイン、足場板、真鍮などを使用したとのこと。
色々な要素がごちゃつかないよう、素材ごとの距離感や、その場にいた時にどの素材が見えるのか、シーンごとでの見え方に気を配って配置されたようです。
こどもの頃、このご実家で過ごした記憶から、この家の心地よいところを現地でヒアリングをして進めていったお家づくり。
要望のあった素材を程よくMIXしながら、心地よさを引き継ぐ、とても素敵なリノベーション事例でした。
お写真ありがとうございました。
株式会社アートアンドクラフト
建築設計/施工/不動産仲介/建物再生コンサルティングのプロ集団です。
大阪・神戸・沖縄を拠点に、マンション1室からビル1棟まで既存建物の再生を得意としています。
大阪R不動産も運営しているtoolboxのグループ会社です。