細部へのこだわりが肝。圧巻のクラシックリブパネル使い
toolboxのグループ会社、SPEACが設計したこちらの物件。施工中から社内でも話題になっていました。
その理由はこちら。
ここまで広く貼られた「クラシックリブパネル」には、toolboxのスタッフも滅多にお目にかかることはできません!
リビングの吹き抜け天井一面に、屋根の傾斜に沿って貼られた「クラシックリブパネル」。形はエッジで、シャープな印象を作っています。
天窓の周りはもちろん、突きつけ部分が綺麗に収まっているのが美しい!うっとりと真上を眺めてしまいます。
リビングの端からバルコニーを眺めると、ウッドデッキの軒下にも「クラシックリブパネル」を発見!
ウッドデッキとリビングの間に段差はなく、サッシだけ。長手方向に貼られたフローリングが、外へ続いているように見えます。そして、「クラシックリブパネル」も同じ方向に伸びており、奥行きがさらに強調されています。
「クラシックリブパネル」は室内用の壁材ですが、今回の事例では、雨や日射が直接当たらない軒天井に使用箇所を限定し、屋外用の木部保護塗料を現場で塗って使用しているそう。
2階へ上がるとこちらも圧巻です!
廊下の天井、長手方向に「クラシックリブパネル」を採用。床は、同じく長手方向のラインを作りつつも、短尺で木目の濃いフローリングを選ぶことで、天井とのコントラストを強め、アクセントに。
スッと伸びやかな印象で、視線が奥に引っ張られます。そのまま奥の突き当たりにご注目。
気づきましたか?壁のようですが、実は扉なんです。
天井が折られたかのように、綺麗に「クラシックリブパネル」が突きつけられた壁に潜んでいる建具。
「クラシックリブパネル」の幅を考慮した割り付けにこだわりを感じます。
寝室のヘッドボードには、「クラシックリブパネル」のラウンドを使用。リラックスする寝室であり、もたれかかった際に背中が当たるので、やわらかな印象で肌触りの良い形状を選びました。
湾曲した材が綺麗に突きつけられた角が美しく、職人技を感じます。
「クラシックリブパネル」は、DIYでも取り入れられる壁材ですが、スケールの大きさは去ることながら、細部へのこだわりや職人の技術により、その意匠はさらに輝きを増すのだとあらためて気付かされました。
LDKが2つ!緩急をつけた間取り
4人家族がお住まいになるというこちらの住居。母屋、テラス、ガレージの3つから成っており、実は間取りも興味深いのです。
母屋とガレージの屋根した空間は、雨に濡れずにガレージに行き来できることと、天候を気にせずテラスを使えることを考えてつくられています。
隣家から視線を遮ったテラスには、キッチンやベンチを設置し、くつろいだり、食事をしたりできる機能を持たせました。
テラスは、補助的な位置付けだったり、屋内と区別されることが多いですが、こちらの住居では、テラスを“アウトサイドLDK”とし、母屋の“インサイドLDK”と並列する位置付けに。LDKが中と外に一つずつある間取りになりました。
母屋のリビングや廊下のテラス側はほとんどが掃き出し窓になっているため、2つのLDKを視覚的にはもちろん、物理的につなげることも可能。
家族で過ごすLDKという重要な存在に、屋外の良さも取り込んで、さらに面積を約2倍にする大胆なアイデアです。
いわば2つのLDKを設けた、広々とした住宅。一方で、自室にこもらず自然と家族とコミュニケーションが取れる家にしたいという想いから、母屋2階の寝室や子ども部屋は最小限に。
とはいえ、一人になれる空間が少ないわけではなく、小さい和室やリビング端のヌックスペースなど、自室以外で過ごせる多様な空間を設けています。
自室がコンパクトな分、収納はほぼ全て玄関横のスペースにまとめました。玄関直結の家族共用ウォークインクローゼットは、クローゼットとは思えないほど、広々とした空間。
ものを取りに来る時にリビングを通ったり、クローゼットで家族と顔を合わせたり。家全体のものを一つにまとめることで、会話が自然と生まれそうです。それだけでなく、帰ってきてすぐ着替えたり、入浴前に下着やタオルを揃えたりという、動線が考慮された合理的な配置でした。
開放的にするところは大胆に面積を使いながらも、締めるところはコンパクトに。動線が緻密に設計された緩急のある間取りには、明確に描かれた家族像があるように思いました。
外と中の2つのLDKを主役に、家族の時間をつくるための工夫を散りばめた新築戸建て。メインマテリアルとなった「クラシックリブパネル」が、家族の時間をよりあたたかく、おおらかに包み込んでくれることを願います。
株式会社スピーク
不動産のセレクトショップ「東京R不動産」を運営。
建築・不動産の開発・再生プロデュース、建築・インテリアの設計・デザインも行っています。
toolboxとグループ会社です。