いつも素敵な事例をいただく、かっこよさと女性らしさの按配が絶妙なitoma designさん。
今回は、6年後にお子様全員(男子3人!)が巣立った後の夫婦2人の暮らしに向けてと計画されたリノベーション事例です。
元々、施工会社にお勤めの旦那様と、アンティークや手作りが好きな奥様。以前の部屋も自分たちで手を加えていたそうです。
当初の要望は、「明るければ……。後は設計者さんにお任せします。」だったそうですが、設計の勝又さんは、何度か会話を重ねる中で、少しずつキーワードを引き出し、体温の感じられる、暮らす人と一緒に経年変化を楽しめる家を提案したそう。
特徴的なのは、この一見戸建てのように見える廊下の天井の木ルーバーと等間隔に吊るされたペンダントライト。
元々、廊下を中心に各部屋へアクセスする間取りで、天井も低く暗い雰囲気だったそう。
そこで天井を最大に上げ、廊下に光と風が流れ込み、通る時にみんなが楽しくなるような動きのあるデザインを提案したそうです。
低い天井を圧迫しないよう、廊下の照明はダウンライトというのが定番ですが、ここは「ソケットランプMETAL 鉄サビ」。高い天井ならではですね。海外の教会の回廊みたいです。
このルーバーから色々吊るしたり、アレンジを楽しめるようにという意図もあるそう。ドライフラワーなどを吊るしてもよさそうですね。
特徴的なステンドグラスの入った室内窓は、キッチンから廊下へとつながっています。
アンティークショップを覗くのが好きなご夫婦に、ステンドグラスのデザインもお任せ。ショールームに通って、楽しみながら物を決められたそう。
押し出し窓の把手は「アイアン把手 平板」。
このステンドグラスを基調に、ドアの色や壁の左官の色を展開していったとか。
玄関から入ったテラコッタタイルの土間部分の収納は「木製パインルーバー折れ戸」、無塗装品をオスモで着色した上に「把手の金物 φ6 鉄 W100」を組み合わせて。
フローリングは、「ラスオークフローリング」を採用いただきました。
シックなブルーグレーで塗装されたモールディング付きの扉と、黒で揃えた金物、照明もインダストリアルなものを組み合わせているので、カントリー調にならず、いい按配です。
洗面空間は、「棚受け金物 鉄 D60」で浅い棚を3段つくって。
洗面は、化粧品ボトルや歯ブラシなど、細かいものが多いので、奥行きが浅い棚が便利です。
「マリンデッキライト クリア×ブラック」の照明、拡大鏡、水栓、タオル掛けと、こちらの全てブラックで揃えて引き締めのアクセントに。
設計の勝又さんが、強く印象に残っているのは
「好きなお酒がナラ材の樽で作られてるから、フローリングはナラ材が良い」
と設計中に奥様がつぶやいた言葉。
当初の「明るい家」とだけ要望を語っていた頃からしたら、随分と心が開放されてるなぁとその変化に嬉しくなったそう。
子供ができたタイミングで家づくりに着手する方も多いと思いますが、そこから20〜30年経って、今度は子供が独立した後の夫婦の家としてもう一度改装する。当時と比べ、自分たちの趣味や求めるものの変化も楽しみながら、長年暮らした自分の家の良いところもマイナスなところも理解した上での改装。
想像するだけで、素敵な歳の取り方だなと憧れます。
ありがとうございました!
(来生)
itoma design. / イトマデザイン
住宅・店舗・オフィスの設計・インテリアデザイン
男前なかっこよさと、使いやすさなど細やかな女性らしさの按配がお上手な女性デザイナー 勝又みづきさん。
素材の組み合わせや金物づかいは、とても参考になります。
・工場と駅のタイルと金物に心踊ります
・植物に囲まれた生活に癒されております
・猫科な性格です
紹介している商品
- 写真の「マリンデッキライト ブラック(大)」は仕様変更前のものです。(旧仕様品の商品名「クリア×ブラック」)