国有林に隣接し、敷地からは深い谷を介して浅間山とその稜線、森が広がり、眼前には一切の人工物が存在しない場所。
北側が急斜面となった敷地の特性を活かし、斜面から見下ろす美しい山々や豊かな自然を存分に感じることが出来るよう、北側に大きく開いた建物に。
屏風のように多角に折れながら連なる窓。
日本の屏風絵は、折れた状態で鑑賞することを前提としていて、折ることで平面画を立体的に楽しんでいたのだそう。視点を横に移動させることで、屏風絵のように景色を臨場感たっぷり立体的に楽しめるように。
そんな設計者の思いが、この多角に配されたガラススクリーンに込められています。
床と天井には、欧州の厚みのあるオークと木曽のヒノキを取り合わせています。冬場には、南からの光を取り込み建物内に蓄熱出来るよう設計されています。
建物の中央に位置するのは、クライアントの友人であるイタリア人の彫刻家に制作を依頼したという、彫刻のようであり暖炉のようである炎と鉄のオブジェ。
鉄の厚板を折り曲げ、重ね、中に蓄熱用のマグネサイト石が組み込まれています。
扇型の平面を南北にレベル差をつけて重ね、景色と対峙するダイナミックな空間と少し奥まり篭れるスペースとが用意されています。
天井の高さや素材を変えることで、南北の場の雰囲気を切り替えています。空間のアクセントにもなっている壁面照明には『工業系レセップ』が採用されています。
眺めのいい2階にリビングダイニングを配置し、洗面やバスルームは1階に。
それでも十分すぎるほど、景色を眺めながらゆったりリラックスすることができる明るいバスルーム。細いボーダーの白タイルがヒノキ材とマッチし、柔らかな雰囲気を醸し出します。
屏風のように景色を折り合わせ、自然と対峙するためにつくられた空間。ゆったりとした贅沢な時間の流れを感じます。
Cell Space Architects
住宅や軽井沢の別荘建築を中心に、集合住宅、オフィス、文化施設、ランドスケープ、家具など幅広く展開しております。どのような環境においても、自然を感じられ、心地よく包まれるような 豊かな空間をつくることを心がけております。