よく見る空間のようで、どこか違う。セレクトショップやギャラリーに訪れた時のように、揃ったものを見た時のスッとするような気持ちよさがあります。

今回ご紹介するのは、お客様自身でデザインをされたという、綺麗な収まりや素材合わせが印象的な事例です。シンプルな空間の中には細部にたくさんのこだわりが詰まっていました。

まずはこちら、こだわりのオーダーキッチンから。

周りのインテリアともうまく馴染み、まるで家具のような出立ち。そのワケは素材選びにあります。キッチンの腰壁はモールテックス仕上げ、天板は木の上に薄くスライスしたようなステンレスが乗っており、オイルガードも土台を木にすることでうまく溶け込んでいます。

ダイニングから見ると天板の小口の木が主張してくることで、ステンレス天板の設備感が薄くなり、ダイニング、キッチン、背面収納の一体感が生まれています。

キッチン背面にあるのは大容量の収納スペース。下部のカップボードは大工さん、上部の吊り戸棚と飾り棚は家具職人さんに作ってもらったもの。吊り戸棚の棚板がそのままスーッと壁まで伸びたように繋がっており、ポツンと吊るされたペンダントライトが、陶器たちをまるで展示しているような気分を演出しています。

下部のキャビネットは一部をオープンにして、居場所に困りがちなゴミ箱も見事にフィット。収納力ももちろん抜群なので、見せたくないものはしまって、お気に入りは見えるように出しておく。物が増えがちなキッチンでも余裕を持ってディスプレイを楽しめちゃいます。

振り返ってこちらはリビング。まるで額縁に飾られた絵のように浮かぶ窓に目を惹かれます。春になると家の前の桜が見えるように大工さんと相談しながら高さを決められたそう。時間の経過や季節の移り変わりを楽しめるお家って、とっても素敵。

ちなみにテレビボードもご夫婦でデザインをしてオーダーで作ってもらったもの(!)。こちらもモールテックスと木材が使われており、お家の雰囲気にも見事にマッチしています。

こちらの洗面スペースには『ダイカストトグルスイッチ』を使っていただきました。真っ白な壁にポツンと浮かぶ金属の質感がなんとも愛おしい。必要最低限の要素だけを残したプレーンな空間で、この鈍い輝きが良いアクセントになっています。

ランドリースペースには『アイアンハンガーパイプ』が。『吊りパイプ H100 ブラック』『吊りパイプ H500 ブラック』を使って高さの違う2つのパイプを水平に揃えて取り付けるというアイデア。上部に収納スペースを作りつつ、開放感もしっかり確保。ハンガーパイプの高さが揃っているので、見た目もスッキリとまとまっています。干す、畳む、仕舞うの家事導線もコンパクトで楽ちんです。

トイレにもこだわりが光ります。背面のニッチ収納にはトイレットペーパーがすっぽりと収まっています。トイレットペーパーって意外とかさばって収納場所に迷いがち。でも生活感が出るからあまり見せたくない…という人も多いはず。このようなニッチ収納なら、見た目も綺麗かつ取り出しやすい。

また背面のふかし壁の奥に収納があります。正面からは見えないようにしつつもオープンな収納になっているので出し入れがしやすく便利。デザイン性も利便性も両立したアイデアです。

玄関にも小さな工夫が。こちらはスリッパのニッチ収納。玄関からは見えないように、けれど必要な時にはサッと取り出せます。

「大工さんや家具職人さんと何度もやりとりをする必要があり、申し訳ないなと思うこともありましたが、家づくりは何度も経験することではないので、後悔しないよう要望を伝えることが必要だと思います」とお客様。

ここまでお客様のこだわりがぎゅっと詰まった空間が実現できたのも、大工さん、職人さんと直接相談をしたり、話をしながら、お家づくりに真摯に向き合ってきたからこそ。直接話すことでイメージをそのまま伝えることができ、迅速に対応してもらえたそうです。

キッチンから見たリビング。吹き抜けから差し込む光がなんとも心地良い。

オーダーは決めることも多くコストも手間もかかりますが、その分見た目だけでなく使い勝手まで自分の思い通りに作ることが出来ます。そうしてできあがったおうちなら感動もひとしお。

窓から見える景色は移り変わり、お気に入りの食器も少しづつ増えていって、木の味わいは日々深まっていく。そんな素敵な時間がこれからも続いていくんだろうな、そう思える事例の紹介でした。

テキスト:しもむら

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