引き戸が何枚も連装され、奥行きが深くなる町家づくり。
玄関から見通せるその眺めは、まさしく町家の風景を思い出させてくれます。
昔ながらの趣や味わいを残し、この通り土間のどこからでもLDKへアクセスできる間取りになっています。
既存の建具は古くなり利用できなかったので、お施主様と一緒にここにはまる古建具を選んだのだそう。
引き戸を開けて中に入ると、オープン階段を隔てるように、リビングとダイニングキッチンが配置されています。
お部屋の中央にアイアンの階段が入ることで、古さの中にもすっきりとした新しさが加わった印象を与えてくれます。
オープン階段を用いることでLDKの広がりを保ちつつ緩やかに空間を仕切り、さらに、階段の天井は吹き抜けにし、1Fと2Fが広々と繋がる空間にしています。
こちらがキッチンスペースです。
古家具に合わせた深色の木のキャビネットを合わせた造作キッチンを設置。
障子の引き戸を開けると解放的な視界になり、腰を掛けながらお茶をしたりできる、そんな連続性をもったスペースです。
ダウンライトが照らす暗めの空間に、無骨なスチールラックがちょうど良い存在感に。ラックの網目模様の影が壁にも落ち、模様を作っています。
収納もたっぷりあるので、お気に入りのお皿など飾るのも良さそう。
スペースに余裕があるからこそ、たくさんの品数をお料理しながら、自分の時間をゆったりと楽しめる、そんな空間ですね。
リビングダイニングに走る梁がまた築112年の趣を物語っています。
昔を引き継ぎながら、今暮らす家を作っていく。
グレイッシュな壁、新設したキッチンや収納、その中に所々残される昔の面影が、落ち着く、という心地よさを作り出す素敵な事例でした。
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