利便性や価格も決め手になったという、築50年のコンパクトな2階建て。2階の間取りはあまり手を入れず、1階は壁を少なく抜け感を出した回遊性のある間取りです。
玄関を入ってすぐ、小さなリビングのようなスペースが広がります。
ワインレッドのアクセントウォールが効いた、“書庫”になっているのです。
お施主さんの「縁側のような、街に開かれたような……」という何気ない呟きにヒントを得て、玄関ホールと一体になった、気ままに過ごせる図書室のような場所をつくりました。
黒い壁は、黒板塗料で塗装。落書きもメモも自由に書けるところが、みんなに開かれたスペースを象徴しているようです。
造作したクリアガラスの2パネルの引き戸の先はリビング。杉の無垢フローリングが視線を奥へといざないます。
衝立の裏はサニタリースペースになっています。新規でつくった壁や柱はあえて素地仕上げ。これから先の経年変化や落書きさえも「味になってくると思う」と、おおらかに変化を受け止めるお施主さん。
もし塗装したくなったら好きな塗料から選べるというのも、制限がなくていいなあと思います。
洗面とランドリーをまとめたスペースは、建具を設けていないものの、衝立てと床材の切り替えで空間を切り分けて。
収納は衝立の裏の可動棚にコンパクトにまとめています。壁付け水栓を採用して壁をふかしているので、洗面周りの小物の置き場もしっかりと確保。
調理器具を見せて収納したキッチンは、コンパクトながらも、お料理をよくされることが伝わってきます。生活感を隠す収納カウンターは、スツールをおいて休憩したり、金物をつけて収納を増やしたりと、いくらでもカスタマイズして使えそう!
キッチン手元灯として採用していただいたのは、『インダストリアルアームライト』。
洗い物をしているときはシンクを、魚の骨を抜いているときは作業台を……など、料理をしている時に照らして欲しい場所って、その時によって結構違うんですよね。アームライトは、デスクで使うものという印象が強かったのですが、好きな場所を照らせると考えると料理を頻繁にする方のキッチンには最適なのかもしれません。
ダイニングは、元はサンルームだった場所。日当たりの良さを生かして、“サンルームダイニング”として活かしています。日当たりの良いサンルームで囲む朝食なんて、想像しただけで気分が上がりますね!
忙しい朝も少し早く起きて、ゆっくりコーヒーを飲んだり家族で朝食をとったり。食卓から広がる暮らしを想像してみてもいいかもしれません。
「いい意味で“直しかけ”だから、DIYに積極的になった」とお施主さん。華美な装飾はせずに、素材をそのまま生かした内装には、これから自分たちで育てていくための余白が含まれていました。
自分たちが持て余さないちょうどいいサイズの家。だからこそ、自分たちで育ていくことを楽しむ余裕があるのかもしれません。
株式会社アートアンドクラフト
建築設計/施工/不動産仲介/建物再生コンサルティングのプロ集団です。
大阪・神戸・沖縄を拠点に、マンション1室からビル1棟まで既存建物の再生を得意としています。
大阪R不動産も運営しているtoolboxのグループ会社です。