工事後。ノスタルジックな雰囲気は継承しつつキッチンは新設し清潔感や使い勝手をしっかり配慮。

工事前。

使用しなくなった自宅を改装し、賃貸に活用したいというお客様。築70年程の長屋が醸し出すノスタルジックさがなんとも印象的な物件。

この雰囲気がこの物件最大の特徴と捉え、経年変化した素材も極力活かしながら既存の設えに寄り添うリフォームを目指しました。

サンプルボードでの現場確認の様子。左から2番目の少し赤みを残した茶色に。

既存の床は長年使われ良い飴色になっていたのですが、劣化が激しかったので新規に貼り増すことに。ラワン合板にオイル塗装で仕上げました。

周りの色味から浮かないように、どの色味が一番馴染むのか確認して色味を決めていきます。
今回は既存枠と収納建具のプリント合板の中間の色味を狙い『ルビオ モノコート チャコール』と『ルビオ モノコート ブラウン』を調色して仕上げていきました。

壁・天井は少し黄みがかった白色で全面塗装しました。黄みがかっているので以前よりもやわらかく、空間がまとまった印象です。収納引き戸のプリント木目調は、「昔こういうのあったよね!」と言いたくなる感じが素敵で残すことに。

階段下の収納建具。新規部分と既存部分を共存させ、清潔感をだしつつもどこか懐かしい雰囲気に。

次はキッチンのご紹介。

私自身よく料理をするのですが、サッとお皿や調味料を取り出したりしつつも天板にはものを置かず広々と作業したいと常々思っています。ただ、賃貸だとそこまで収納がなく、いろんな収納キットで工夫した経験があります。
そんな経験も踏まえ、シンク下の扉付き収納以外にも収納に工夫しました。
上部にはオープンな吊戸棚、向かって右手側にはニッチ棚、そしてキッチン背面には設計上必要となった新規壁を利用しライニングを造作。壁際には『ハンガーバーΦ9 ステンレス W400』を取り付けて、調理道具を吊るしておくこともできるように。

また、物件のレトロさに馴染むように、アイテムの選び方にもこだわりました。
レンジフードはどこか懐かしい台形型を選んでいたり、キッチンパネルではなくタイルを貼ったり、キッチン本体もスタイリッシュすぎないものを選んでいます。

収納スペースを散りばめたキッチン。色味は白でスッキリと統一。全体がクールになりすぎないよう、吊戸棚やニッチ収納にはラワン合板を用いて、木のあたたかみも加えました。

洗面室は限られたスペースながらも、あって欲しいアイテムをバランスをみながら設置しました。

スクエア洗面器 ハイライズ』を用いることで幅は抑えつつも、しっかり顔が洗える洗面空間を実現。『陶器のラック』を設置し、細々としたものの置き場もしっかり確保。

細かい隙間を縫うように1本の鋼製配管を通し、スイッチボックスを設置。その上部には『工業系レセップ フラットグレー』を設置しました。

鏡と「ハンガーバーφ6 ステンレス W400」側面に設置。収納も既存を利用してしっかり確保しています。

コンパクトに機能を詰め込んだ洗面スペース。

続いて浴室。

ノスタルジックな家にはタイル仕上げの浴室でしょう!

賃貸の浴室ってユニットバスでシャワーをササッと浴びれたらOKみたいな存在かなと思うのですが、こちらの浴室はのんびり湯船にでも浸かりたい気持ちにさせてくれます。

もとの浴室がタイル仕上げだったのを見て、「やっぱりタイル仕上げの浴室っていいな」と感じ、あえて手間のかかる在来浴室でリフォームをしました。

照明には『ミルクガラス照明 小』を使用しています。小ぶりな照明がちょっとしたアクセントに。

壁のタイルには白の100角タイル。窓周りは今ではあまり見かけないR形状のものを使っています。
実は既存の浴室のオマージュなんです。

「窓周りがR形状の浴室って昔あったよね、この感じ良いよね!」と現場での打ち合わせ時に盛り上がり、浴室を一新しつつもデザインは受け継がせてもらいました。

タイル職人さんにも「R形状なんていつぶりだろうか、やり方思い出せるかな」なんて言われましたが、しっかり仕上げてくれるあたりが流石。

最低限の機能と清潔感だけで考えがちな浴室も、素材やアイテム選びをこだわれば1日の疲れを癒す立派な部屋として機能してくれるはずです。

工事前。窓周りのR形状のタイルが印象的。

奥行きのある室内窓も新しく設置。

実はこの向こう側は先ほど紹介したキッチンのスパイスラックなんです。ガラスはFIXなので開閉はできませんが、キッチン側への灯取りとしても機能しています。

室内窓の上部には『ハンガーバーΦ6 ステンレス サイズオーダー』を取り付けて、丸カンを通してカーテンレールとしても使えるようにしています。

工事後。R形状のタイルデザインを継承。

キッチンのニッチ棚、裏側が浴室です。

最後に外構。

外構については玄関ドアと勝手口を周りの長屋のものとはワントーン彩度をあげた色味に。長屋の並びでもちょっと色の異なる玄関ドアと緑色のポストで「ここだけちょっと違うぞ」と思える仕掛けになればいいなと考えました。

通りから玄関をのぞむ。周りの色合いに寄り添いつつもちょっとだけ目に留まる色合い。

タイムスリップしたかのようなどこか懐かしい路地にひっそり佇むこちらの家にどのような方が住まわれるのか、今からとても楽しみです。

裏通りから勝手口をのぞむ。長屋の一角に佇む本物件。勝手口も玄関ドアと併せて少し明るめに。

TBK
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東京23区および近郊

ツールボックス工事班|TBK

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住宅のリフォーム・リノベーションを専門に、オフィスや賃貸案件も手がけています。
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