オーナーさんがお困りの戸建てをカリアゲて、リノベーションして賃貸運用する、ルーヴィスの「カリアゲ」プロジェクト。今回は、10年以上同じ方が入居していた賃貸物件が舞台です。
築年数が古いのでリフォームしても借り手が付かないかもしれないという理由でそのままになっていましたが、懐かしさを感じる木造のつくりに新しい空気を纏うキッチンがハマる、心躍る空間になりました。
玄関を入ってすぐ目に入るのがこの景色!
真壁のつくりを残した空間の中央に浮かぶ直方体は、100角タイルで仕上げたキッチン。昔ながらの、幾度と見てきたタイルなはずなのに、ブルーの目地を合わせることで、まるで見違えた印象に。
さらにドキッとするのは、役物タイルで納められたこの角。直線的なタイルに美しい曲線が加わった、そのギャップにでしょうか。胸打たれる感覚があるのです。
コンロは、『クリアブラックIHヒーター』を採用。ただの板のようなフォルムがキッチンの世界観を邪魔しません。
正方形のキッチンだからこそ、使い方を規定されないところも魅力的です。作業台部分がダイニングテーブル代わりになったり、ワークスペースにもなりそう。好きなものをディスプレイしてもいいかもしれません。料理をしなくても、その空間を活かせるような存在感に惹かれます。
憧れるキッチン、でも収納はどうするんだろうと思っていたところ、見つけました。本体に開戸がついており、中に収納できるようになっているのです!コンロ側とシンク側の2箇所に収納があるので、食器や鍋などはしっかり納まりそう。
空間全体を引いてみてみると、このキッチンが木造らしいつくりを存分に生かした空間に存在していることがさらに魅力を増していると思うのです。
カラー目地やタイルを多用したキッチンの事例は、海外の事例でよく見かけます。好きでよく見ているのですが、心ときめく一方で、スケール感の違いもあり身近なものとして捉えられていませんでした。
でもこのキッチンを見た時のときめきは、海外の事例を見る時のワクワクした気持ちだけでなく、実現できる可能性に気づいた感覚だったのだと思います。
見慣れた木造戸建の趣に個性的なキッチンが堂々と存在しているギャップが心地よい。そして、素材一つ一つは決して目新しいものではないのも親近感が湧いたポイントでした。
キッチンのタイル目地と色を合わせたブルーの扉の先は洗面脱衣室。目を惹く鮮やかなブルーと懐かしい階段が共存しているのが、この物件らしさを現している気がします。
無駄を排除したミニマムな洗面。陶器の洗面ボウルや換気扇のプロペラが、なんだか安心するノスタルジックな印象をつくっています。照明は焼き物の『モデストレセップ』を採用。控えめな存在感がよく似合います。
2階に上がると、広い和室になっています。元は2部屋あった和室を、ひとつに繋げて、光を通す開放的な空間にしました。
奥の窓際は、既存の床や壁をそのまま利用して縁側に。階段から上がってすぐの床はタイルを使用し、広い空間を切り分けています。
広い空間ですが、構造上の柱が残っているのも印象的。暮らしに合わせて家具やカーテンで空間を仕切ってもいいですね。
元々あった押し入れは無くしたものの、奥には大容量のウォークインクローゼットを完備。全体的に収納は少ない印象でしたが、ここがあればなんとかなりそうです。
既存の要素を大切に生かしながら、個性的なキッチンを主役に組み立てたリノベーション。ノスタルジーと新しい感性の融合に心奪われた事例でした。
株式会社ルーヴィス
古い建物を活用し、既存のいい部分は活かしながら「懐かしい新しさ」に変化させるリノベーションを行っています。
toolboxでも初期からお世話になっている施工パートナーです。
※お住まいになりながらの改修工事はお受けできません。