ここは何かのショップなのでは?いいえ、家なんです!
目指したのは、スタジオやショップのような無機質な家。コンセプトを聞く前から、実現したかったものがどんなものか分かるほど。コンセプトとストイックに向き合った事例です。
そんな、ショップかのように感じる空間には、たくさんの工夫が詰まっていたので、詳しくご紹介していきます。
現状からは想像がつかないかもしれませんが、元は築50年の一般的な居住用マンション。そんなマンションの一室をリノベーションしました。
元々あった壁を取り払い、ワンルームに変更して、壁を白塗装。天井も解体して、躯体現しにして白塗装に。この壁と天井のパテと塗装は、10日間かけてご自身でやられたそうなんです。空間に対する愛が伝わってきますね。
天井と壁を全て白で統一したことで、境目がなくなり広々とした空間に感じます。背景となる部分が整っていると、そこにプラスする様々な工夫がより効果を発揮しやすくなる気がします。
まずは皆さんも目についたでしょう。印象的な収納から紹介していきます。
3mのハンガーパイプをワイヤーで天井吊りに。ワイヤーが背景と同化しているので、ずらっとかけられた洋服が宙に浮いているかのように見えます。
その手前にある白い台はDIYで作ったもの。靴箱、ディスプレイ、ベンチと三つの役割を果たすものになっています。
対面する側の壁には、壁付けの可動収納棚を設置。
壁と一体になるよう白色にしたことと、床から浮かせるようにしたことで、空間を広く見せるのに一役買っています。
全体をひいて見ると、まるでセレクトショップのよう。
照明はライティングレールにスポットライトを何個か付けて、洋服やカバンなど、注目させたいものに光を当てるようにしています。この照明がよりショップらしい雰囲気を作りあげています。
しまうためではなく、魅せるための収納。白い背景なので洋服がより映えますし、ワンルームなので、飾る洋服によって空間の雰囲気までも変えることもできそうです。洋服好きのアパレル業界で働くお2人ならではの工夫です。
そして、次はそんな場所の奥に見えている洗面について。
洗面は『ミニマルキッチン』に『壁付けセパレート混合水栓』の組み合わせです。
「ミニマルキッチン」はキッチンという名の通り、横にコンロを設置できるものなのですが、今回はコンロ開口不要で注文していただき、ゆとりのある洗面台として採用していただきました!
空間を広く見せるために、足元を浮かせて壁付けに。
設置位置を少し高めにしてハイチェアを置いています。時間にゆとりがある時は、ここに座ってゆっくり準備する様子が浮かびます。
こんな風に高さを自分好みに調整できるのも、壁付けの良さだなと思います。
続いて、キッチン空間のご紹介。
こちらも洗面と合わせて、ステンレスで統一しています。
シンク側とコンロ側の天板は『オーダーキッチン天板』。レンジフードは『オーダーレンジフード』をW900×H250mmでオーダーいただきました。オーダーレンジフードはスイッチを自由な場所に設置できるので、コンセントとともに手元に配置しています。
「オーダーキッチン天板」は、天板だけの商品。
キッチンシンクの下はゴミ箱にしたいと当初から考えていたため、下のスペースを広く使えるよう、コの字型のキャビネットを造作して、その上に天板をのせています。
そのキッチンのすぐ横に設置したダイニングテーブルもステンレスで統一。
こちらもなんと「オーダーキッチン天板」を採用いただいています。オーダーキッチン天板はこんな風にデスクに活用していただくこともできるのです。
テーブルの近くにはひっそりとスイッチが。『アメリカンスイッチ』のホワイトです。
テーブルのすぐそばにコンセントがあると、ホットプレートやたこ焼き器などのコードもノンストレスで繋ぐことができますし、パソコンやスマホの充電もストレスなくできそうなので作業スペースとしても活用できそうです。
続いて、リビングダイニングへ。
ここは、床置きタイプのプロジェクターを取り付けることを想定してつくられた空間で、広さは30㎡ほど。
プロジェクターを置く場所を想定して、そのすぐそばにコンセントを設置しています。
ダイニングで食事したりキッチンで料理をしながら、プロジェクターでNetflixやYouTubeを見るのが日課になっているそうです。
椅子とソファは黒でモノトーンに統一。
実は、このソファのサイズや置く場所も予め決めていて、ソファの真下の床にコンセントを設置しているんだそう!ソファにねっころがって、充電しながらスマホいじったりなんてこともコードを気にすることなくできそうです。
徹底的に計画すると、そんなことまで実現できるのかと感動です。
リビングダイニングも照明は、ライティングレールにスポットライトを取り付けています。
ライティングレールに取り付ける仕様にすると、見た目の良さだけでなく、自由に照明の位置を変更できるから模様替えした時に、困らないという魅力もあります。
続いて、奥に見える寝室へ。
寝室は、木と和の要素を取り入れて、あたたかな印象です。他は無機質でシンプルな空間でしたが、ここだけは少し印象が異なっています。
木のカウンターを設置したり、収納に暖簾をかけたり、大きな和紙の照明を取り付けたり。たくさん要素を足したわけではなくとも、ポイントで和と木の要素を加えたことで、ここまで印象が変わるものなんですね。
床は、全て傷がつきにくくメンテナンスが楽なモールテックスを使用。
また、扉を全て天井吊りにして床レールを無くしたり、巾木も見切り材も無くして、空間の境目をつくらないよう工夫されています。
模様替えも掃除もスムーズにできますし、それらが無機質な印象を与えている要因にもなっています。
目指したいものに対して、どうやったら実現できるのかストイックに向き合う。
すっきりと洗礼された空間に見える中に、たくさんの工夫が詰まっていたのだと謎が解明されていくようで、私自身もとても学びになりました。
また、小さな工夫を積み重ねると空間全体としてみたときにこんなにも印象が変わるんだなと、実感できた事例でした。
これからも、生活に合わせて変化していく様子を楽しみにしています!