ダークグリーンの壁面に目が奪われるリビング。
「黒の面積が大きいテレビがインテリアの中で浮かないよう、背面の壁は暗めの色にしたい」との意図で塗装の色味を選択したそう。周囲の壁面も真っ白ではなく、ほんの少し黄味がかったベージュ色に。この色の組み合わせ、どこかノスタルジーを感じます。
そんな配色をベースに、淡いピンクの家具や照明、カラフルなファブリックが散りばめられ、賑やかにお部屋を彩っています。
天井にある四角い部分はトップライト。最上階に位置するこちらの住居は、もともと天窓が付いていたんだそう!
頭上から注ぐ柔らかな自然光が、置かれている物の色や形をより鮮明に見せてくれているように思います。
ソファを置かない代わりに、どこでもゴロゴロできるようにと、足元はグレーの絨毯を採用。壁の出隅と合わせて床材を見切っているのが美しいですね。
床の見切り材には真鍮を。さりげない一本線ですが、隣り合う床材をより品良く魅力的に見せています。空間の中で使われている照明やフックともお揃いに。
続いて、ダークグリーンの壁面の裏側を見せていただきましょう。
入り口には左右対称にアートを飾って。上部に『モデストレセップ』を付けてアイキャッチにしています。ちょうど目に入る位置に、開口部奥の部屋のペンダントライトが見えているのも、奥行きを感じさせてくれていいですね。
こうした何もなければ通り過ぎてしまう場所でも、ちょっとした遊び心で愛嬌を持たせることができるんだと気付かされます。
中はキッチンになっていました。
家づくりの中でも譲れない条件だったという独立型のⅡ型キッチン。『オーダーキッチン天板』を使って、コンロとシンクを分けた配置に。足元がオープンなので、ゆとりを感じられます。
個室としてリビングとは仕切られた空間なので、油や水はね、匂いに音なども気にすることなく、黙々と調理に没頭できそう。また、冷蔵庫に調理家電、食材のストックや食器……料理に必要なものを全てここ一箇所に集めているので、効率よく動けそうですね。
キッチンの中で、とても特徴的なのが壁面の配色!ピンクのタイルに、ダークグレーの目地を合わせています。
『オーダーマルチバー』や棚受けなど、小物は鉄製やブラックのものを取り入れることで、空間をキリッと引き締めます。
そのままだと辛口な雰囲気に寄ってしまいそうですが、木の模様豊かな『ラーチの吊り戸棚』やOSB合板の棚板が適度な柔らかさを生んでいるように思います。
そして、奥のワークスペースとの仕切りに選んだカーテンは壁面よりも鮮やかなピンクに。トーンの違う色を合わせて使う、バランスが見事です。
先程紹介したリビング・キッチンと扉なくグルグルと回遊できるワークスペース。仕事の合間にテンポよく家事をこなせそうですね。
カーテンと同じピンクの収納箱や、ペンダントライトのコード、棚の小口だけ蛍光イエローに塗られていたりと、ここでも散りばめられた差し色が効いています。
玄関側にも天窓が。柔らかな光が家族を出迎えます。壁付けの照明も天窓と同じましかくのものを。
リビングへと続く絨毯敷きの床とクリーム色の壁。アメリカのモーテルを思わせる雰囲気を醸し出しているのは、巾木の色味も大きく影響しています。
実は、家の中で使われている色を繋いでくれる存在として、巾木の色にこだわったというお施主さま。
ヴィンテージの北欧家具に見られるような、赤みを帯びた色味で、扉や窓枠など、他の木部も統一しています。
巾木を差し色のように使う……参考にしたいテクニックです。
洗面はテラゾー柄の床に、クリーム色のタイル。
タイルを貼った壁面は、巾木と同じ木枠でぐるりと見切ってまとまりよく。額縁のような見せ方が印象的です。たっぷりとした厚みや滑らかな曲線の『ウェルラウンドシンク』が、レトロな雰囲気をさらに盛り上げています。
また、浮いてしまいがちなアルミサッシにも、木の窓枠をつけて。空間の意匠として効いています。
お部屋を彩る家具や小物、ベースとなる壁や床材へのこだわりはもちろん、それらを繋ぐのが巾木や見切り材、タイルの目地。
家を長持ちさせるという大切な役割に加え、色や素材など意匠としても遊べる要素なんだという気づきを与えていただきました。
ゼロリノベ(株式会社グルーブエージェント)
「大人を自由にする住まい」をコンセプトに、家を買うことで自由になる「家のさがし方」「家のつくり方」を提案するリノベーション会社。
東京・神奈川・千葉・埼玉を中心に、資産性のある中古マンションの「物件さがし」から「リノベーションの設計・施工」までワンストップで提供しています。