部屋の奥から光がスーッと玄関まで抜けてくる、明るく開放的な空間。そのワケは間取りにありました。
実はこのお家、長方形の空間に対して玄関→キッチン→ダイニングが斜めに貫くように配置されているのです。この斜めの空間をつくることで、バルコニーから玄関まで、風と光の通り道が生まれ、部屋を広く開放的に感じさせてくれます。
廊下を無くしてキッチンダイニングを中心に置き、どの部屋に行くにもこのスペースを経由するレイアウトに。そうすることで家族の交流する場が自然と生まれています。
アイランドキッチンとパントリーとの間仕切りには、このお宅のアイコン的存在とも言えるガラスブロック!このなんとも言えない揺らぎのある表情、懐かしさを感じる雰囲気に憧れを抱いている人も多いのではないでしょうか。(かくいう私もそのひとり……)
壁全面に取り入れるとなるとハードルが高く感じてしまいますが、このようにキッチンの背景の一部として取り入れることで、やわらかな光が抜け、空間全体の設備感や生活感を和らげてくれます。
そしてこのお宅の工夫は間取りだけにあらず、あかりにも注目なんです。
キッチン正面にある壁に囲われたリビングルーム。このスペースはもともとプロジェクターを置くことが決まっていたそうで、必然的に暗さが求められていました。そこで暖色の照明を壁にあてて部屋を間接的に照らすことで、ぼんやりとした光に包まれるおこもり空間に仕上がっています。
他のスペースとあかりの印象に差をつけることで、完全に壁で覆われていなくともひとつの居場所として、しっかりと独立していますね。
一際光が差し込む窓際の空間には家族が集まるダイニングを。壁も天井も、先ほどのリビングと同じ塗装を施しています。塗装に光沢が入っているので、自然光が入ってくる空間では反射してよりさっぱりとした白っぽい色味に感じられます。
個人的な推し空間がこのフリースペース。全体的に淡い色味でまとめられた空間の中で、レモンイエローと赤みがかった木の色味、植物の緑のコントラストに目を惹かれます。
パキッとした色合いが集まる場所では塗装壁の色味にも深みが増したように感じられます。
ちなみに、こちらの本棚はお施主様のDIYで作られたそう……!自分たちの手で作ったからこそのこの空間へのフィット感なのだな、とお施主様のセンスに脱帽です。
こちらの囲われた空間はウォークインクローゼット。家族のたくさんの荷物もここにまとめてスッキリ収納できます。しっかりと壁で囲われているので視界は遮りつつも、上部が抜けていることで内部の光が間接照明のように天井にぼんやりと広がります。
見せたくない場所をただ隠すのではなく、隠しながらも空間として魅せる居場所にしている。ぜひ真似したい素敵な工夫の仕方だなと思います。
壁をなるべく作らない開放的な空間でも、廊下の役割も兼ねた、斜めのリビングダイニングを中心に生活空間を配置したり、床材を切り替えたり、あかりの印象で差をつけたり……。ゾーニングの工夫次第で居場所は分けることができる!そんな気づきをいくつも得られる素敵な事例のご紹介でした。
ゼロリノベ(株式会社グルーブエージェント)
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