撮影:中村晃

控えめな存在感であかりを引き立てる、円錐台状の磁器レセップ「モデストレセップ」がアレンジされた舞台は、東京都練馬区の木造戸建。

オーナーさんがお困りの戸建てをカリアゲて、リノベーションして賃貸運用するルーヴィスの「カリアゲ」プロジェクトです。

撮影:中村晃

「既存の良い部分は活かしながら、懐かしい新しさに変化させる」ことが得意なルーヴィスらしく、今回も既存の間取りや仕上げは残しつつ、新しい要素を取り入れています。

アレンジ版「モデストレセップ」はLDKがある2階に設置されていました。

既存の梁を現しにした木のぬくもり溢れる空間に、満月のように佇んでいます。

ブラックの鉄板とホワイトの電球が空間のアクセントになっています。(撮影:中村晃)

光らせるとこんな感じ。

フードのように曲線を描いた鉄板に、「モデストレセップ」のホワイト Mサイズとφ95のボール球を合わせて。

鉄板は1mmと薄く、曲げ加工しブラックの焼き付け塗装をしたものだそうです。鉄板のシェードが新たな影を生み、空間に変化を与えてくれます。

撮影:中村晃

ツヤがなくマットな仕上がりの「モデストレセップ」。目立つことなく、大ぶりな電球とシェードを受け止め、オブジェのような照明器具になっています。

控えめだからこそアレンジにも対応できるんだ!と新たな魅力に気付かされました。

直線的な空間の中でシェードの丸みが際立ちます。(撮影:中村晃)

他の空間もご紹介します。

艶やかなレンガ色のタイル壁とラワンがマッチするシックなキッチン。アクセントとなるよう、『フラットレンジフード』でブラックを取り入れました。

おこもり感のあるキッチン。スツールを置いてまったり過ごすのも良さそう。(撮影:中村晃)

キッチン横のガラスドアから見えるのは……

和室とリビングをつなげて18帖と広いリビングに。天井を高くしてのびやかな空間に仕上げました。(撮影:中村晃)

優しいグリーンでまとめられた和室!和室にドアガラスというのがなんとも新鮮です。

壁の色は畳のい草色に。つくりのほとんどが既存のままなのにモダンな印象です。

畳と襖は交換。建具をガラスドアにすることで明るい空間に。(撮影:中村晃)

今やグレーやベージュなどいろんな色の畳も手に入りますが、あえてい草の色で全体を統一する発想はなかった!既存の木の色とも馴染みがよく、リラックスできそうな一室です。

押し入れ部分にはハンガーバーをつけてクローゼットとして使えます。(撮影:中村晃)

1階も既存を生かしつつ、一部壁を無くして開けたスペースに。

奥の壁には何やらタイルが貼られています。以前はキッチンだったそうで、キッチンがあった記憶をあえて残しているんだそう。

1階には広々としたホールと部屋が2つあります。(撮影:中村晃)

前に棚を置いたりデスクを置いたりしても良さそう。既存のタイルを残したことで、ここをどう工夫して楽しもうか妄想が膨らみます。

グリーンは先ほどご紹介した和室でも使われたカラー。違う空間でもリンクさせるところがあると空間全体で統一感が生まれています。(撮影:中村晃)

お風呂もタイルが魅力的。ツヤのある白タイル壁に、床はグリーンのタイルを合わせています。清潔感のある白目地は、全体を明るく見せてくれています。掃除にも気合いが入りそう。

既存の空間や商品に、プラスαのアレンジを加えて、新たな印象をつくり出した事例。今あるものを見つめ直して何かできないかを考えるきっかけをもらったように思います。

株式会社ルーヴィス

古い建物を活用し、既存のいい部分は活かしながら「懐かしい新しさ」に変化させるリノベーションを行っています。
toolboxでも初期からお世話になっている施工パートナーです。

※お住まいになりながらの改修工事はお受けできません。

テキスト:庄司

関連する事例記事

家の1/3が吹き抜け。余白で暮らしを育む分譲住宅リノベーション
家の1/3が吹き抜け。余白で暮らしを育む分譲住宅リノベーション
今回ご紹介するのは、築30年の分譲住宅をリノベーションした事例です。 似た形状の住宅が並ぶ一番端っこに佇むこのお家。外観からは想像できない、内部の空間のつくり方、光の取り入れ方に注目です。
「今、自分がしたいことをして生きる」ためのマンションリノベ
「今、自分がしたいことをして生きる」ためのマンションリノベ
実家を出て一人暮らしをしようと、中古マンションを買ってリノベーションした40代のお施主様。「今の自分がしたいこと」を一番大事にしてつくった住まいには、思うままに暮らしを楽しむ自由がありました。
巣立った子供たち、壁をなくしてみんなが集まれる広々リビングへ
巣立った子供たち、壁をなくしてみんなが集まれる広々リビングへ
子供やお孫さんたちが帰郷したときに、みんなでくつろげる場所が欲しいと、3DKだった間取りを3LDKに間取り変更し、広々としたリビングをつくりました。
光庭を通して、街の気配が静かに漂ってくる住まい
光庭を通して、街の気配が静かに漂ってくる住まい
「大切にしてきた愛車を置くスペースがあって、周辺環境に溶け込むシンプルな家」そんな施主の願いを受けてつくられた、小さな敷地目一杯に建物を立てつつ、光が差し込み風が抜けるよう計算された親子二人暮らしのためのお家です。