ご紹介するのは、建売住宅に少しずつ自身で手を加えているという住まい。
「建売住宅なので、100%希望通りの家というわけではありませんが、ここを変えたらもっと心地よく素敵になるはず!という点をコツコツとカスタマイズして、その変化を楽しみながら暮らしています。」
そんなご家族が家づくりをする上で心がけているのは、元々の家の個性をなるべく活かしてあげること。流行りにあまり流されないこと。
また、木の暖かい雰囲気が好きということで木の素材を多く取り入れることを大切にしているそうです。
今回注目したのは、壁一面に貼られた『クラシックリブパネル』。
この空間がとっても素敵で目を引いたのですが、驚いたのは施工方法!「クラシックリブパネル」はボンドと釘で施工するよう推奨しているものなのですが、その施工方法にお施主さんなりの工夫が隠されていたのです。
施工したのはリビングの壁。
「ソファの後ろを一面木の壁にしたい」という希望が強くあったため、その壁にあった横スリットの窓は塞いで施工することにしました。
しかし、この窓枠には段差があり、ボンドと釘という推奨の方法では施工が難しい。また、将来もし現状復帰したくなった時に、壁も「クラシックリブパネル」も最小限のダメージで再利用できる施工方法にしたいという希望がありました。
そんな前提条件があり、考えた方法が「ネオジム磁石」と「マグネット補助プレート」で固定すること!
強力なマジックテープなども考えたそうですが、「クラシックリブパネル」はサネをはめ込んでスライドさせる必要があるため、マグネットの方が良いだろうと判断したそうです。
まずは壁に、ベースとなる木材をタッカーで止め、その上に別の木材をボンドでくっつけます。
そして、その木材にマグネットをビスで取り付け。
「クラシックリブパネル」側にはマグネット補助プレート(金属プレート)を設置します。
「リブパネル側につけるマグネット補助プレートは、最初手軽な両面テープタイプを試したのですが、リブパネルの中には反りが強い個体があり、プレート自体が剥がれしまうことが分かりました。そこで、木ネジで固定するやや厚いタイプにしたところ、結果的に吸着力もかなり強力になりました。」
ただこの施工方法はコスパは良いとは言えず、横幅約4.4m、高さ2.4mの壁を施工して、マグネットと補助プレートだけで1万円以上かかったそうです。
試行錯誤しながら無事に完成!
立体的な意匠のある壁材なので、夕日が当たった時に出る表情が素敵で、時間を忘れてぼーっと眺めてしまいたくなります。写真や動画を見て、自社商品ながらうっとりしました。
実は、この家で最初に手を加えたのは、300本以上のウォールナットの端材を貼って仕上げたキッチンの腰壁。
「建売とは言え新築の腰壁に手を加えるのはまあまあ勇気が要ったこと、水平がだんだん微妙にズレてきて直すのが大変だったこと、そして貼っても貼っても終わらなかったことはよく覚えています(笑)。」
最初に手を加える時は、たしかに妙な緊張感があるよなと共感。でも、この最初の一歩が自身で好きな空間を作り上げていくという今のターニングポイントになったのではないかと思いました。
推奨している施工方法はありますが、自分の家なら自分のやりたいように工夫してやればいい。それを体現してくださったお客様。
家づくりの仕方は人それぞれで楽しいなと改めて気づかせてもらいました。次なる挑戦も楽しみです!