名古屋市の住宅街に佇む、200㎡の敷地に建つ新築戸建ての事例です。
施主からのリクエストは、「3台分の駐車スペース」、「デッキのある庭」、そして「効率的な家事動線」の3つ。これらを実現させるため、まず東西方向に建物を広げ、建物の表側にあたる北に駐車場を配置し、南側に庭を確保することから設計をスタート。
そうして完成したのが、このキッチン棟、リビング棟、水廻り棟の3棟で構成された住まいです。東西の隣家からの視線を、水廻り棟とキッチン棟で遮り、南北は敷地境界からの距離を取ることで、家族のプライバシーを守っています。
ユニークな3棟構成の住まい、その内部はどうなっているのか。早速ご紹介していきます。
玄関を入ると、まずはシューズクロークが迎えてくれます。
家事動線を考慮して、玄関の右側にはパントリーを用意し、買い物してきた荷物をさっとしまえる便利な動線を確保。左側にはWICがあり、コートなどをすぐに脱ぎ着することができます。
足を踏み入れた瞬間、思わず「わぁ…」と感嘆の声が漏れてしまいそうなリビング。
リビングを守るように、両サイドに配置されたキッチン棟と水廻り棟へとつながる開口は、すべてアーチ状にデザインされています。連続するこのアーチが、リビングのちょっとしたアイコンとなり、くぐる楽しさを印象づけます。
アーチ内部の空間は、リビングよりも少し明るめのトーンで仕上げて、自然と目線がアーチの奥へ引き込まれるように工夫。複数のアーチから差し込む柔らかな光が、リビング全体を優しく包み込み、穏やかな広がりを感じさせます。
玄関とリビングを仕切るパーテーションには黒板塗料が塗られ、子どもの絵や作品を飾ったり、家族へのメッセージを書き込んだり、コミュニケーションボードとして活用されています。
アーチ開口の仕切りにはレースカーテンを採用。目隠ししつつも、光や風をさりげなく取り込めるように。
リビングの奥側、窓に面した床の一部は、なんと畳になっています。気持ちいい日の光に包まれながら、寝転びくつろげる贅沢な仕様。
特徴的なデザインが生み出す豊かな体験によって、毎日の暮らしがワクワクと彩られた住まい。
2つの棟に包み込まれるような安心感がありながら、視覚的な抜けや広がりを巧みに取り入れることで、心地よい伸びやかさを感じることができる。住む人の心を豊かにしてくれる、素敵な事例です。
設計事務所:border design architects
担当建築家:鳥居信貴
施工:㈱スペース巧房
カメラマン:植村崇史
border design architects
愛知県名古屋市を拠点に活動する設計事務所。
様々なコミュニケーションを大切に設計をしています。お客様とのコミュニケーション、新しい住まいでの家族間のコミュニケーション、周辺環境とのコミュニケーション。様々なコミュニケーションを縦断しながら、毎日が楽しいと思える家づくりのお手伝いをさせていただければと思います。